拝啓・貴方様


僕は貴方のことを忘れられました。

もう影も追いません。

引きずりません。

思い出も全て過去の物として捨てました。


でも、今日貴方から来たメールが僕をまた過去に戻そうとします。

久しぶりに来たたった1通のメールが時間を止めます。


貴方はメールで『彼女出来た？』と聞いてきた。

貴方は何もわかってない。

僕がどれだけ過去を捨てるのに時間が掛かったか。

どれだけ辛かったか。

そして今、捨てた思い出を拾おうとしてる僕だと言うことを。


でも、僕は前の僕じゃないから。

思い出を拾う寸前で自分を殴り。

殴った勢いで記憶も一緒にぶっ飛ばし。

また過去に戻らない為に道をなくして。

進む道もなくして。


全ての物を叩き切った。


これで僕は『今』と言う離島で生きる。


過去とか、未来とか、全部どうでも良い、と。

今のみ見て歩いていく、と。

過去の事は今更どうにもならない。

未来の事は今はわかんない。

大事なのは『今』だと。


今という物だけが僕を救ってくれる。

時間を戻すのも、早めるのも無理なんだから。

過去に貴方とあったこと。

未来に貴方と起きること。


そんなもの、しらねぇよ。


今、僕が貴方の影を引きずらない事が大切なんだよ。

引きずる影をその場に置いて、ダッシュで逃げて、後も前も見ないで下だけ見て歩く。

そうすれば、いつか新しい『人』を見つけて。

貴方より最高の人を見つけて。

貴方に自慢してやるよ。








『貴方に振られたからこんな素敵な人と出会えたんだよ』







それが僕に出来る、『今』唯一の手段。

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